高血圧 なぜ治療する必要があるのか?
今回は高血圧症について詳しく解説します。
高血圧症は多くの人が抱える健康問題であり、放置すると重大な疾患を引き起こすリスクがあります。
この記事では、高血圧症の発症メカニズム、なぜ治療が必要なのか、そしてどの程度まで血圧を下げるべきかについて、わかりやすく説明します。
高血圧症の発症メカニズム
高血圧症は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症します。その主なメカニズムとしては、以下のものが挙げられます。
- 血管の抵抗増加: 血管が狭くなると、心臓が血液を送り出す際に必要な圧力が高まります。これが持続的に続くと高血圧を引き起こします。
- 血液量の増加: 血液量が増えると、血管内を流れる血液の圧力が高まります。これも高血圧の原因となります。(塩分、水分の摂りすぎなど)
- ホルモンバランスの崩れ: 体内のホルモン、特にレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)の異常が高血圧を引き起こすことがあります。
- このホルモン系は血圧調節に重要な役割を果たしており、その異常は血圧を上昇させます。(高血圧全体の10%程度)
なぜ高血圧症を治療する必要があるのか
高血圧症を治療しないと、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などの重大な疾患を引き起こすリスクが高まります。
これらの疾患は突然の発作や長期にわたる臓器障害を伴い、最悪の場合、生命に関わることがあります。
高血圧は自覚症状が少ないため、放置しがちですが、そのままにしておくと生活の質(QOL)を大きく低下させることになります。
具体的には収縮期血圧 10mmHg または拡張期血圧 5mmHg低下させることで、脳卒中で30-40%、冠動脈疾患で約 20%、心不全で約 40%、全死亡で 10-15%、リスクを減らすことができます。
どの程度まで血圧を下げればいいのか
降圧治療の目標は、通常、収縮期血圧(SBP)を130mmHg未満に保つことです。
ただし、個々の患者のリスクや年齢に応じて目標値は異なります。
例えば、高齢者や合併症を持つ患者では、無理に120mmHg未満に下げることは避けるべきであり、過度の降圧は逆に危険を伴う可能性があります。
動脈硬化性冠動脈疾患、末梢動脈閉塞疾患、頸動脈狭窄がある方では特に注意が必要です。
そのため、患者ごとに適切な目標を設定することが重要です。
まとめ
高血圧は放置すると深刻な健康問題を引き起こすリスクが高いため、早期の診断と適切な治療が不可欠です。
個々のリスクに応じた適切な目標設定を行い、持続的な管理を行うことで、健康な生活を維持することが可能になります。