
そのむくみに利尿薬は必要?薬剤性浮腫と就下性浮腫
身体の異常なむくみや浮腫は、様々な健康問題のサインとなる場合があります。
特に下肢の浮腫は、心不全や腎不全、さらには栄養失調による低アルブミン血症やリンパ系の問題など、多岐にわたる原因が考えられます。
しかし、薬剤性浮腫や就下性浮腫のように、病状そのものよりも生活習慣や服薬歴に関連する場合もあるため、適切に評価することが重要です。
薬剤性浮腫について
特定の薬剤が原因で起こる薬剤性浮腫は、その中でもカルシウム拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピンなど)が注目されます。
実は、カルシウム拮抗薬を服用している患者さんの最大で50%が、薬剤性浮腫を経験するとされています。(Clin Med. 2002 Jan-Feb;2(1):28-31)
これは、カルシウム拮抗薬が血管を拡張する作用を持つことに起因します。その結果、足や足首にむくみが生じることがあります。
この場合、服薬を見直す必要があるかもしれませんが、必ずしも利尿薬が必要というわけではありません。
他の降圧薬に変更したり、浮腫が出にくいCa拮抗薬(シルニジピン)に変更することがあります。
就下性浮腫(dependent edema)について
一方、特に高齢者に見られる就下性浮腫は、長時間の立ち仕事や座りっぱなし、旅行などでの長時間座っている状態など、日常生活の中での姿勢が原因で起こります。
このタイプの浮腫は基本的に無害で、夜間に横になることで自然と解消されることが多いです。
したがって、就下性浮腫の場合は、生活指導、特に適度な運動や足のマッサージ、睡眠時の足の高さを保つなどの対策で改善することが期待されます。
利尿薬の使用は通常必要ありません。
まとめ
浮腫の背景には様々な医学的状況が潜んでおり、すべてのむくみが利尿薬によって改善されるわけではありません。
薬剤性浮腫の場合、原因となっている薬剤の見直しが必要になることがあります。
一方、就下性浮腫は生活習慣の改善で対応できる場合が多く、特別な薬剤治療は不要です。
いずれの場合も、適切な診断と個々に合った治療が重要です。むくみや浮腫に気付いた際は、自己判断せずかかりつけ医での相談をお勧めします。