とくまる在宅クリニック

誤嚥性肺炎の解説と予防方法:口腔ケアからカプサイシンまで

query_builder 2023/08/17
コラム



誤嚥性肺炎は、食物や液体、唾液などが気管や肺に入り込むことで発生する肺炎の一種です。

特に高齢者や嚥下機能が低下している人に多く見られる疾患であり、重篤な場合には命を脅かすこともあります。

この記事では、誤嚥性肺炎の原因や特徴、そして予防方法について詳しく解説します。

不顕性誤嚥と顕性誤嚥

誤嚥には「不顕性誤嚥」と「顕性誤嚥」の2つのタイプがあります。

不顕性誤嚥
誤嚥してもむせなかったり呼吸苦が起こらないなど誤嚥の徴候が捉えられないこともあり、これを不顕性誤嚥といいます。

多くの場合、自覚症状がないため、気づかずに繰り返してしまうことが多いです。

睡眠時に唾液が気管に入り誤嚥性肺炎を起こすこともあります。

顕性誤嚥
顕性誤嚥は、食物や液体が気管に入ることを明らかに感じる誤嚥を指します。

咳や窒息感を伴うことが多く、すぐに気づくことができます。

しかし、一度顕性誤嚥を経験すると、再度誤嚥するリスクが高まると言われています。


誤嚥と誤嚥性肺炎の違い


誤嚥は、食物や液体が誤って気管に入る現象を指し、それ自体は一時的なものであることが多いです。

一方、誤嚥性肺炎は、誤嚥が原因で発生する肺の炎症を指します。

誤嚥が繰り返されると、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、予防が非常に重要です。



誤嚥の予防方法


食事の工夫

食物の硬さや粘度を調整することで、嚥下しやすくすることが大切です。

また、ゆっくりと食事を取ることで、誤嚥のリスクを低減することができます。


嚥下訓練

専門家の指導のもと、嚥下機能を向上させる訓練を行うことが推奨されています。

これにより、食物や液体が正しく食道に進むようになります。

在宅の方の場合には訪問看護ステーションからの訪問リハビリテーションを行うことができます

(医師の指示書は必要になります)。


姿勢の工夫

食事中は、背筋を伸ばして正しい姿勢を保つことが大切です。

また、寝たきりの方は、食事の際には少し上体を起こすことで、誤嚥のリスクを低減することができます。



誤嚥性肺炎の予防方法

口腔ケア
口腔内の清潔を保つことは、誤嚥性肺炎の予防に非常に重要です。

定期的な歯磨きや舌の清掃、口腔内の湿度を保つことで、細菌の繁殖を抑えることができます。

カプサイシンの誤嚥予防効果
カプサイシンは、唐辛子に含まれる成分で、嚥下反射を促進する効果があります。

カプサイシンを含む食品を摂取することで、嚥下機能が活性化され、誤嚥のリスクが低減するとされています。

市販の健康食品で入手可能なものとして山田養蜂場が発売している「カプフィルム」があります。

食前に口内で溶かして使用します。

ブラジキニンを介した誤嚥予防
ブラジキニンは、嚥下反射を促進する物質として知られています。

この物質を活性化することで、誤嚥のリスクを低減することが期待されています。

薬物療法
一部の薬物は、嚥下機能の改善や誤嚥の予防に効果があるとされており、誤嚥性肺炎のリスクを低減することができます。

肺炎球菌ワクチン

誤嚥性肺炎の原因の一部となる肺炎球菌に対するワクチン接種は、肺炎の予防に有効です。

特に高齢者や免疫力が低下している人は、定期的なワクチン接種を受けることをおすすめします。

肺炎球菌ワクチンはニューモバックス、プレベナー、バクニュバンスがありますが基本となるのはニューモバックスです。


ニューモバックスは5年に1回の接種、さらにワクチンの効果を高めるためにプレベナー、バクニュバンスなどを追加接種することもあります。



誤嚥性肺炎は、予防することが最も大切な疾患の一つです。

誤嚥が気になる方は日常生活の中で予防方法を取り入れることで、健康な生活を維持することができます。