癌性疼痛への対応~板橋の訪問診療クリニック~
昨日、シリンジポンプを納入してもらいました。シリンジポンプは内服できない癌末期の方の疼痛緩和ケアのために医療用麻薬(オピオイド)の持続皮下注射を行う際や、主に癌末期で身の置き所の無いきつさを感じている方に持続鎮静を行う際に必要な器械です。これで癌末期の癌性疼痛の急な悪化時にも迅速に対応することができるようになりました。
奥に見えるのは医療用麻薬金庫です。
医療用麻薬については国立がん研のパンフレットが詳しいです。 リンク
通常は医薬分業といって医師は処方箋を発行し、その処方箋に則って薬剤師さんが患者さんにお薬を渡します。オピオイドも基本的には医師が処方箋を発行し、薬剤師さんが患者さんに手渡します。
医薬分業は平時には優れたシステムです。医者が発行した処方箋を薬剤師さんが用量や飲み合わせをダブルチェックすることでより安全な医療を提供することができます。
ただ、夜間や休日に患者さんから痛みの連絡を受けた場合の対応を考えると機動性に欠ける面があると思います。
①まず夜間・休日に薬局さんが対応してくれるか?
②対応してくれる薬局さんに必要としている薬剤の在庫があるか?
(在庫がない場合薬局さんが薬剤卸に発注して翌営業日以降の入荷になります)
③内服ができない患者さんの場合、持続注射を行うためのシリンジポンプをその薬局さんが保有しているか?
…③までいくと相当ハードルが上がってきます。
夜間疼痛に苦しみ、どうにかしてほしいとやっとの思いで電話をくれた患者さんに、すぐに痛みを緩和してあげられなくては申し訳ありません。
緩和ケアのコアな部分である疼痛緩和に関しては自院のみで即応できるように麻薬金庫整備など内製化を進めてきました。シリンジポンプ購入でやっとひと段落つけることができました。
本来であれば痛みに関しては前もって鎮痛剤を調整しておくことが望ましいです。
ただ、中には医療用「麻薬」という名称から使用をギリギリまで避けたがる方もいらっしゃいます。
また急に痛みが悪くなる方も中にはいらっしゃいます。
そのような方が夜間や休日、電話をされてきても万全に対応できる体制は整いました。
※もちろん緊急時以外には医療用麻薬も医薬分業で運用しようと考えています。
1分1秒でも早く痛みを取り除きたい。そう考えています。